10人のアムウェイVS私 ルノワール2時間の攻防 〜その4・曇りなき眼発動編〜
曇りなき眼を発動した私は、席に戻る前にまず、ユカコさんとの会話を振り返ってみることに。ユカコさんは最初、こんなことを言っていました。
「私は色んな経験をしてたくさんの人を見てきたからわかるの、この子は伸びるわ。そこらへんのサラリーマンとは全然違うのよ。私は彼を育てていこうと思ってるの」
「その彼が最初に連れてきたのがあなた。だから私はあなたにもすごく期待しているし、こうしてわざわざ一対一で話す時間を取っているの。本当はこんなことしないんだけどね」
「あなたはたかし君と同じM治大学出身なんですってね。M治大学なら、まあそれなりに話が通じると思っていいわよね」
そのときの私がどんな感情を抱いたのか曇りなき眼で見渡してみると、
バスの中で見た映像やツアー中の周囲の口ぶりから、私の頭の中には「ユカコさん=お金持ちで、時間に縛られず海外旅行等に頻繁に行き、良い仲間に囲まれ、社会貢献活動を行う、“すごい人”」という図式が出来上がっていたのです。
そのすごい人が友人であるたかしをとても気に入っていて、引き上げようとしている。そしていま、私に対して評価を下そうとしている。ここで、「ユカコさん=評価をする側」「私=評価をされる側」という、関係性・ロールの固定化が起こり、私の中に「気に入られるよう振る舞わないと」という気持ちが生まれたのだと思います。
更に思い返すと、ユカコさんはこんな発言もしていました。
「最近はネットで調べてわかった気になっちゃうでしょう。でもネットには嘘の情報も一杯よね。いまの時代、ネットの情報を鵜呑みにせず、ちゃんと目の前の人の話を聞いて自分で判断できる人じゃないといけないと思うんだけど、あなたはどう思う?」
「新しいことを成し遂げる人というのはね、大抵その時代の常識に反することをするものなの。ガリレオだってダーウィンだってそうでしょう。でも、世の中には常識でがんじがらめにされているつまらない人ばっかり。当たり前だと思っていること、常識だと思っていること、それを一度疑ってかかる。それがイノベーションに必要なのよ。少しでも経営学を学んだならわかるでしょう?」
これ自体はまあそんなに否定するほどでもない言葉です。
でもここで「ええ、そうですね」と答えたことにより、「常識的に考えておかしいと思ったものも、一度考え直してみないといけない」という考えが内在化され、その後のユカコさんのおかしな話を否定しづらくなったんじゃないかな。
そうそう、だめ押しでこんな質問もされました。
(でも大丈夫、私の前職は広告営業!数多のめんどくさい質問をひらりとかわしてきた女!!わかってる、年上の人から「いくつに見える?」と聞かれたときの定石は「実際に見える年齢の3〜5歳下の年齢を言う」!!!しかしユカコさんは厚化粧で若作り!つまり若く見られたがっている!!!すなわちここは思い切って10歳下の年齢を言うのがベストアンサー!!!!!!)
(「騙してません!?」と加えることで「本当に驚いている感」を演出するタイプのクソ野郎)
この茶番は「なぜ若く見えるかというとアムウェイの化粧品を使っているから」と商品PRにつなげる布石だったわけですが、もうひとつ別の意味合いもあったんじゃないかな、と思います。
ここで「ユカコさんが喜ぶような返答をすること」をしたことにより、「自分の言動に一貫性を保ちたがる心理」みたいなものが働いて、その後もユカコさんが気に入るような返事をするようになってしまったんじゃないかと。「評価される側・ご機嫌をとる側」というロールを自分で強化してしまったのですね。
アムウェイの勧誘トークには、その人自身が気づいていないエゴや欲求、心の隙をつき、自分に都合の良いようにコントロールする細かなテクニックがたくさん散りばめられているんだろうなぁ。つづく!
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